Sinn 「 MILITARY TYPE W 」
こんにちは。
先日、SINN EZM-7を紹介しましたが、今日はもう1本新作をご紹介します。
今年の新作「MILITARY TYPE W」 (日本限定50本)です。
この時計は、視認性を最優先したジンならではのスタイルに、西日本のジン愛好家たちが持つジンのイメージを昇華させ生まれた、日本のみ50本限定という希少性の高いクロノグラフです。
この時計の開発に携わった人物が先日来店され、その経緯を聞かせていただきました。
「西日本にはマニアックなジン愛好家が多いんです。その声を取り入れ、こだわった物を西日本から発信したい。特に今年は東日本大震災もあり、西から日本を元気にしたい!という強い思いも込めています。実は、ドイツのジン販売店からもこのモデルを入れたいと、要望があったんですよ。」
今後はおそらく50本という少量生産モデルは出ないだろうと言っていました。
視認性を追求し、あえてクロノグラフの12時間計を排除。はっきりと見やすいバーインデックスはスーパールミノバにより暗い所で光ります。
精度の安定と向上を目的としたプロテクトガスの充填やドライカプセル機構、高い耐磁性能を実現したマグネチック・フィールド・プロテクションなどのジン・テクノロジーも搭載。
文字盤上に記された“MILITARY”という文字は、ミリタリーウォッチに求められる精度、機能性、視認性、耐久性などの高いスペックを備えている証だそうです。
【ムーブメント】
・Valjoux7750(自動巻/25石/28,800振動)
・マグネチック・フィールド・プロテクションにより80,000A/mまで磁気防護
【機能】
・時・分・秒(センターセコンド)
・クロノグラフ(30分積算計)
・デイデイト表示
【ケース・ベルト】
・ケース:ステンレススチール
・ベルト:ステンレススチール
・風防:サファイアガラス
・航空用回転ベゼル
・リューズ:ねじ込み式
・プッシュボタン:標準
・裏蓋:ステンレススチール、ねじ込み式
・防水性能:20気圧防水
・上空12,000m負圧耐性
・ドライカプセルを組み込んだ除湿テクノロジー
・放電腐食防止のプロテクトガス充填
【サイズ・重量】
・ケースサイズ:直径43mm×厚さ15.5mm
・重量:215g
・ベルト幅:22mm
【その他】 ・日本限定50本
■税込価格 ¥336,000(本体価格 ¥320,000)
ドイツ語で「ジン スペツィアルウーレン」、日本語に翻訳すればすなわち「ジン特殊時計会社」という社名のこの時計ブランドは、年間生産本数わずか12,000本のプロフェッショナルのためのメーカーです。
ドイツ軍パイロットで飛行教官でもあったヘルムート・ジンが、自らの名前をブランドにしてフランクフルトでパイロット用の時計を作り始めたのがその発端です。これは時計というより航空機器に近いもので、視認性が高く、そして堅牢な作りは、プロフェッショナル・パイロットたちのニーズを完璧に満たしていました。
1994年9月にはローター・シュミット工学士がジンの経営を引き継ぎました。
(そういえば、何年か前にローター・シュミット氏はUMAKI倉敷店に来店されているんですよ。)
シュミットはスイスの名門ウオッチブランド(IWCなど)の工場長、開発部長、支配人などを歴任した人物です。
彼が新会社にもたらしたものは、開発と製造での経験と知識だけでなく、絶えざる新しい技術の開発によって成長を持続するというポリシーでした。
時計業界に登場したこのジンの新しい時計技術に対しては、業界もユーザーも注目し関心を注ぎました。
ジンの時計は従来の技法にとらわれがちな時計業界にあって、新しい技術的リーダーシップを建てようとするものだと思います。
話は変わりますが、ジンが日本で広く知られるきっかけになったのは、TVドラマ「海猿」で主人公の仙崎大輔が彼女の環菜ちゃんからプレゼントされた「Sinn 403 EZM2 GSG9」でしょう。
人気ドラマということもあり、当店でも放送後、お客様からジンの問い合わせをたくさんいただきました。
さて、MILITARY TYPE Wの話に戻りましょう。
この時計には、ジン・テクノロジーがいくつか搭載されています。
その①「マグネチック・フィールド・プロテクション」
軟鉄を使用したマグネチック・フィールドは磁力線を遮断し、その防磁性は驚異の80,000A/mです。軟鉄製のリングでムーブメントを囲み、さらに文字盤にも軟鉄製の素材を使用し、磁化を遮断しています。ロゴはその印です。
その②「プロテクトガス」
ムーブメントに使用している潤滑オイルの劣化が起こると、テンプの軸と軸受けの高速運動で起こる静電気が発生し、さらに空気中の不安定ガスが化学反応を起こす放電腐食がはじまることで全てのパーツにおいて精度が悪化します。
時計のケース内に希ガスと呼ばれる極めて安定したアルゴンガスを充填することにより、この静電気や不安定ガスを含む空気を可能な限り排除し放電腐食を防いでいます。文字盤のArのマークはガス封入の印です。
その③「ドライカプセル」
機械式時計のムーブメントのパーツは、それぞれが円滑な運動を行えるよう潤滑オイルが使用されていますが、
この潤滑オイルの劣化により時計の精度悪化が起こります。この劣化の主原因となるのは、時計ケース内部の水蒸気や不安定ガスにあり、これを取り除くことにより精度の安定が図れます。
ジン社はそのための特殊乾燥剤を使用したドライカプセルを開発し、潤滑オイルの劣化を引き起こす水蒸気を可能な限り取り除く技術を得ました。時計ケース内部の湿気を吸収すると、ネイビーブルーへと色が変化します。
MILITARY TYPE Wは、ジンの特徴と魅力をふんだんに取り入れたハイスペックな時計です。
現在、日本限定50本のうちの1本が入荷していますので、ぜひ実物をご覧ください。